過去の企画展

赤瀬川原平<br>《ホモロジー・女》1964年、石膏、ガラス、30 × 53 × 55 cm<br>《ホモロジー・カメラ》1964年、石膏、カメラケース、16 × 9 × 8 cm<br>撮影: 表恒匡|SANDWICH 赤瀬川原平
《ホモロジー・女》1964年、石膏、ガラス、30 × 53 × 55 cm
《ホモロジー・カメラ》1964年、石膏、カメラケース、16 × 9 × 8 cm
撮影: 表恒匡|SANDWICH

  • 赤瀬川原平<br>《ホモロジー・女》1964年、石膏、ガラス、30 × 53 × 55 cm<br>《ホモロジー・カメラ》1964年、石膏、カメラケース、16 × 9 × 8 cm<br>撮影: 表恒匡|SANDWICH
  • 中西夏之《韻’60 20 Mars》1960年、ペイント、エナメル、砂、合板、112.6 × 145.6 cm<br>撮影:山本 糾
  • 土屋信子《シリコン散歩ルーラー》2007年、ミクストメディア、260 x 170 x 215 cm<br>撮影:木奥恵三
  • ディディエ・クールボ《Needs (Rome)》1999年、C-print、96.2 x 122.1 cm<br>撮影:木奥恵三<br>
  • 中西夏之《吊られた菱形 s.f.f - II》2005年、油彩、板、キャンバス、32 x 41 cm<br>撮影:木奥恵三<br>
  • Mrs. Yuki《life-life-cabinet》2013年、ボールパイソン、ミクストメディア、195 x 130 x 55 cm<br>撮影:山本 糾
  • 川上幸之介《Survival of Adaptable》2013年、紗幕、水、メタルフレーム、ビニールシート、プロジェクター、135 x 135 x 135 cm<br>撮影:木奥恵三

展示風景

  • 展示風景 撮影:木奥恵三<br>
  • 展示風景 撮影:木奥恵三<br>
  • 展示風景 撮影:木奥恵三<br>
  • 展示風景 撮影:木奥恵三<br>

「DOUBLE MESSAGE」
赤瀬川原平、荒川修作、泉太郎、川上幸之介、土屋信子、ディディエ・クールボ、中西夏之、Mrs. Yuki

2013年7月2日(火) - 2013年8月2日(金)

「DOUBLE MESSAGE」展は、社会を反映した実験的装置として多くの作品を生んだ60年代を起点に、既成概念に抵抗するアヴァンギャルド芸術から、敵対する対象をもたず交渉と対話の場へと変化する今日の作品性を映し出すコンセプト・マップです。新たな素材やメディアムを吸収してきた現代作家の作品を通じて、かつての前衛が投げかけた疑問を刷新し、既存作品の解釈に新たな視点を投じることを目的としています。

機智に富んだアイロニーや告発的テーマで知られる60年代のネオ・ダダ作家は、新しい時代の身体感覚を混沌と不条理のうちに探り出しました。使い古した時計やネックレスをアクリル樹脂で固めその実用性を無化し、生命を宿さない卵につくりかえた中西夏之《コンパクト・オブジェ》(1962年)や、木箱に敷きつめた綿とガラスで、存在に陰る不穏さや死への警告を発した荒川修作《柩》(1960年)など、知性に働きかけながらも原初的な感覚を刺激することで、主体性の内奥へと向かう表現の深化をめざしました。

内向するオブセッションと解き放たれるエネルギーとが身体性によって媒介された時代に、赤瀬川原平はストレートな諧謔で新風を吹き込みます(《ホモロジー》1964年)。《トマソン黙示録》(1988年)をはじめとする写真、ポスター、漫画や小説に至るまで境界なく広がる作品群は、日常にひそむ怒りと笑いが織りなすさまざまなアイデアと実践に彩られています。

かつては自然な身体感覚を阻害するものとして扱われた工業品も、円熟した消費社会においては、フェティッシュな愛着を育みパーソナルな物語を紡ぎ出します。土屋信子の《シリコン散歩ルーラー》(2007年)は、偶然の出会いが即興的に演出され、詩的な精密さで独自の感性が織り込まれた廃品のアッセンブリッジ。素材間の緊張と不和は意図的に放置され、コントロールできない有機的な共同体が静かに呼吸を始めるかのように繊細な美しさが息づいています。

経済活動に取りこぼされた生活の一コマに向き合うディディエ・クールボの写真シリーズ《needs》(1999年)は、道端に見つけた小さな必要性を、控えめで自助的な社会活動のように実践する自身の姿を記録します。泉太郎の《フィンランド》(2007年)は、なにげない発見をありあわせの素材でコミカルな笑いに昇華した日常の形而上学。制作活動を私生活の延長線上におき、ひとりごとのように展開するさまざまな試みのプロセスが、そのまま自らを矮小化するパフォーマンスの反復として作品を構成しています。

千円札裁判をめぐって赤瀬川原平が言及した紙幣の価値を、川上幸之介は水に喩えます(《Survival of Adaptable》2013年)。ハンス・ハーケを引用しながら、経済システムの終わりないロテーションを暗示する本作は、告発的な姿勢をみせながらも仮想敵をもたず、善悪の対立構造を無化しています。箱の内側から照らされた光が落とすわたしたちの影は格差社会の本質的な不安を象り、終わらない自問を繰り返すようです。

「DOUBLE MESSAGE」展は、さまざまな相違から生じる意味の二重性をテーマとしています。それは作家世代の違いであり、作品が内包する矛盾であり、かつて想像された未来像と今日の現実との相違です。主体性にもとづく対立と衝突の時代から、客体性にもとづくソフトな関係性の社会への変化を、通史的にとらえようとする眼差しの中に、次世代の新しい感性を予見する視野が開けるのではないでしょうか。

期間:2013年7月2日(火)− 8月2日(金)
開廊日時:12:00-18:00 *土・日・月・祝は休廊
会場:SCAI THE BATHHOUSE

展示作品:
赤瀬川原平《ホモロジー》1964年
荒川修作《柩》1960年
泉太郎《フィンランド》2007年
川上幸之介《Survival of Adaptable》2013年
土屋信子《シリコン散歩ルーラー》2007年
ディディエ・クールボ《Needs (Rome)》1999年
中西夏之《韻’60 20 Mars》1960年

ほか彫刻、写真小作品、ポスターおよび千円札裁判に関する資料など全20点を予定。