"Continuity Inbetween", 2002, Courtesy Johann Koenig, Berlin
"Continuity Inbetween", 2002, Courtesy Johann Koenig, Berlin

イェッペ・ハイン 「Inbetween」

2007年1月19日(金)- 3月3日(土)
期間: 2007年1月19日(金) - 3月3日(土)
開廊日時: 12:00-19:00 *会期中 日・月・祝日休廊

Jeppe Hein (イェッペ・ハイン)の日本で初めての個展を開催します。


イェッペ・ハインは、1974年デンマーク生まれ。ベルリンとコペンハーゲンに制作の拠点をおき、ここ数年各国の美術館やギャラリーでの展覧会、国際展に立て続けて数多く参加し、その活躍ぶりがアート界の注目と期待を今最も集めている若手アーティストの一人です。


イェッペ・ハインの作品は、観客を取り込んでユーモアのある身体的、心理的な体験を作り出すのが特徴です。2003年のベニス・ビエンナーレでは噴水を迷路状に構成し、センサーで立ち入る人の動きを感知して水の壁を立ち上げ、観客を中に閉じこめてしまうという大がかりな作品を発表し、展覧会中最も大きな注目を集めました。また、何もない空間で観客に装着させたセンサーを感知して特定の方向に進もうとするのを不快な振動で阻み、目には見えない迷路を浮き上がらせる作品や、噴水の水しぶきから炎が立ち上がる作品、座ると煙がもくもくと立ちのぼり、座る人を包み込んでしまうベンチの作品など、イェッペ・ハインの作品は知覚や認知の論理を裏切り、くすぐる仕掛けで意表をつく驚きを楽しませてくれます。また、作品によく用いられている人の動きを感知して予想不可能な展開を導くセンサーは、こちらの意志では制御しきれないものへの諦めや、不条理と共にあるおかしみも感じさせます。


ある空間/もの/現象の"通常の"姿や機能、そして観る者との相互の関係性に豊かな遊び心をもってちょっと手を入れ、見たことのない、体験したことのない新しい世界を開きながら、日常を成り立たせているあらゆる秩序やルールの不確かさ、そしてその脆さを一見無邪気なウィットの表現で突くイェッペ・ハインの作品は奥行きのあるアートの愉しみ、悦びにあふれています。


「鑑賞者の感性、精神的な営みに作用して、鑑賞者が介在することで成立するメンタル・スカルプチャー」 とフランチェスコ・ボナミ氏(キュレーター、第50回ベニス・ビエンナーレディレクター)も単に観客を巻き込むだけのインタラクティブ・アートとは一線を画すイェッペ・ハインの作品を高く評価しています。また、作品然としていないために「何についての作品なのか、もしくはそれが作品であることさえも分かっていない多くの観客を作品に関わらせ、楽しませる」ことで、より自然に広く鑑賞者を取り込んで関わりの場を生むことが「イェッペ・ハインの作品の深みと広がりであり、そこに隠れたコンテキストがある」とも指摘しています。


今回の個展では、水を使った建築的なインスタレーション作品"Continuity Inbetween"をメインピースとして展示します。向き合う2つの壁の間をジェットで吹き出される水のラインが繋ぎ、不思議な感覚、体験をもたらしてくれる作品です。併せてネオンを用いた新作作品も展示する予定です。


Tate Modern(ロンドン)、Sculpture Center(ニューヨーク)などでの多くの展示を控えてますますの飛躍を感じさせる2007年のスタートとなる本展をぜひご覧ください。