過去の企画展

『Gush#2』 2005 『Gush#2』 2005

  • 『Gush#2』 2005
  • 『Scum』 2005 h.500 x w.400 x d.400 cm photo : Jordi Pla
  • 『PixCell-Sacred Beast』2005 photo : Toru Yokota courtesy of SPIRAL / Wacoal Art Center
  • 『PixCell[Zebra]』 2003 h.103 x w.90 x d.90 cm photo : Haruo Kaneko
  • 『PixCell-Shoe#2(R)』 2004 h.18.5 x w.15 x d.31.5 cm
  • 『black yarn』 2000

名和晃平 「GUSH」

2006年1月20日(金) - 2月25日(土)

1975年生まれの名和晃平は、2003年に京都市立芸術大学院博士課程を修了後、キリンアートアワード2003奨励賞など次々の受賞を重ね、国内外からの大きな評価とより一層の期待を集めている注目の若手美術作家です。また英国王立美術院(Royal College of Art, Sculpture course)に交換留学し彫刻を学んだ経験をもつ名和の作品には、イギリス的な彫刻の考え方にも影響を受けつつ「ものの表皮」といった日本的な彫刻の成り立ちの発展を開くアプローチを感じます。


名和の作品のシリーズに、動物の剥製やおもちゃなどインターネットのオークションを通して購入した雑多なオブジェクトを透明なガラスビーズでびっしりと覆った作品や、プリズムボックスの中に収めた作品があります。情報の海のなかから言葉(キーワード)をきっかけとして検索にかかったオブジェクトをまずコンピュータのモニター上で画像のデジタルデータとして知覚し(オブジェクトとのファーストコンタクト)、それが手元に生々しい感触を持ったものとして実際に届いたとき(セカンドコンタクト)、名和はその確かな実在にガラスビーズやプリズムボックスといったエフェクトを加えることで、再度新しい秩序の下に情報化された作品として現しています。そしてそれら名和の作品は、見ることと認識すること、その2つの能動の間にリアリティーの所在の不確かさを明らかにするのです。


私たちの知覚が拠り所して頼る「ものの表皮」への意識から発する名和晃平の表現は、その他にもボールペンのインクやグルーを繊細に紡いで描かれるドローイング、またシリコーンオイルや発泡ウレタンといった素材を介した作品など、多様に展開されています。名和晃平の作品は、それぞれのマテリアル、メディアの質を見る者の感覚に開き、新しい構造をもった触知の次元を体験させてくれます。それは実在のオブジェとしての作品であると同時に、"もの"を実在とヴァーチャルなイメージとの間に浮遊する存在に変換してリアリティーの認知を揺さぶり、またときに感性の触媒となって感覚に作用する、知覚の操作デバイスとしての新鮮なアプローチです。名和晃平は、実に21世紀的な情報社会を背景にあらわれた新しい言語をもったアーティストであるといえるでしょう。


2004年には「CAFE in Mito」展(水戸芸術館)、「Have We Met? --見知らぬ君へ」展(国際交流基金フォーラム)、「Hi-energy field」展(KPOキリンプラザ/temporary contemporary)と次々と大きな展覧会に参加し、個々の作品はもちろん、空間のプレゼンテーションとしてクオリティーの高い展示を重ねてきました。2005年には、「愛・地球博 EXPO AICHI 2005」にて大がかりなビーズの屋外作品を発表する一方で、アジアン・カルチュラル・カウンシル(ACC)日米芸術交流プログラムの助成を受けて6ヶ月間ニューヨークに滞在し作品の制作・発表を行いながら、スペインで開催された第3回バレンシア・ビエンナーレに参加するなど国際的なフィールドでの活動を本格的に始動させました。


今回の個展では、バレンシア・ビエンナーレで発表した作品"Scum"をさらに強化し、発展させた新しい試みを発表する予定です。発泡ウレタンやグルーを素材に用い、ギャラリー空間を飲み込んでしまうような勢いでほとばしり、沸き上がる新作の展開に是非ご期待ください。

期間: 2006年1月20日(金)−2月25日(土)
開廊日時: 12:00-19:00 *会期中 日・月・祝日休廊

協力:
キリンビール株式会社
株式会社エービーシー商会
株式会社ユポ・コーポレーション
李 仁孝