清水留理子「そこにいたこと/ここにいること」

2000年9月8日(金)- 30日(土)

1974年生まれの清水留理子は、最初の本格的な個展となる本展にて、オイルドローイングと透明感のある人工素材を用いたインスタレーションを発表します。


トレーシングペーパーや製図用の方眼紙に描かれたオイルドローイングは、ごく薄い色彩とオイルが半透明な紙に作用する効果のおもしろさを特徴としています。そこに描かれたかすかなものやかたちの痕跡は、心と体の間の埋めがたい距離感や、生命の儚さと強さといった、ニュートラルな精神の状態をしたたかに表現します。


一方、色とりどりのひもや糸、スパンコールなど人工的でチープな素材を使ったインスタレーションは、空間に絵を描くように新しい世界をつくっていき、その意味で彼女のドローイングの延長線上にある表現としてとらえられます。たおやかな透明感と浮遊する自由をもちながら、静謐な強さも合わせ持つインスタレーションは、アーティスト本人の内的世界に埋没せず、彼女をめぐる外的世界とのアクセスを求める「おしゃべりな」作品だといえましょう。


日本で写真を勉強したあと、より自由な表現を求めてNYのアートスクールに学んだ清水の作品は、潔さとある種の根っこのなさをよい意味で併せ持っており、新しい世代の表現の可能性を確かに予感させてくれます。


作家略歴:

1974 神奈川県生まれ

1993 東京総合写真専門学校中退

1995 School of Visual Arts (NY) 留学課程修了

1998 第3回アート公募 '99 ギャラリールデコ賞


[主な個展]

1999
はじまりとおわり、ギャラリー ルデコ

2000
そこにいたこと/ここにいること、SCAI THE BATHHOUSE


[主なグループ展]

1998
第3回アート公募 '99、SOKOギャラリー
Chic and Kitsch展、Papper's ギャラリー

2000
VOCA2000、上野の森美術館
サウンド・アート展(コンサート)、NTTインターコミュニケーション・センター(ICC)、東京

期間:2000年9月8日(金) - 30日(土)