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大木裕之 展 「フィクション」 ナ木(ム)⇔谷中の恋

1964年東京生まれの大木裕之は、東京大学工学部建築学科在学中より、自らの抽象化した建築の概念を具体化する手段として、映像制作を始めました。その後すぐに頭角を現した大木は次々に作品を制作、1990年には「遊泳禁止」(89)が、イメージフォーラム・フェスティバル審査員特別賞を受賞します。 91年からは高知県高知市に制作活動の拠点を置くようになり、「ターチトリップ」(1992-93)「あなたがすきですだいすきです」(1994)など、初期の代表作群を立て続けに発表、そして1995年には「天国の六つの箱 HEAVEN-6-BOX」 (1994-95)で、第45回ベルリン国際映画祭ネットパック賞スペシャル・メンションを受賞しました。

様々な人々や場所との関わりの中から生まれる、ドキュメンタリーとも、ストーリーのある所謂フィクションともつかない作風。被写体との距離感、日常風景、セクシャリティーなどの断片的イメージが独特の浮遊感と緊張感をもって、詩的に紡がれる映像作品は、その後も、サンダンス・フィルムフェスティバル、ロッテルダム国際映画祭、山形国際ドキュメンタリー映画祭等、数々の国内外のフィルム・フェスティヴァルで招待上映され、高い評価を得ています。

さらに、単なる映像制作に留まらない彼の表現活動は、偶然出会った人々と関係を結び、その場で起こっていくことが深く作品に結びついてゆくという、人や場所との関係性を深めたものとなってゆきます。その活動は、ライブ上映、インスタレーション、身体パフォーマンス、ドローイングやペインティング作品などにまで及び、1999年の「時代の体温」展(世田谷美術館)を皮切りに、「GAME OVER」展(ワタリウム美術館)、「J-WAY」展(リドマ・ホテル/ストックホルム)、「How Latitudes Become Forms : Art In a Global Age」(ウオーカーアートセンター/米国)、「六本木クロッシング」(森美術館)などの展覧会にも参加し、現代美術のフィールドからも大きな注目を浴びています。

「今でも僕は建築家のつもりでいるんだ」「僕が目指す建築は人々の生活とその関係性を含めた総合的な表現手段なんだ。それを今やろうとすると映画になる。人も物も時間もいろいろなもの全てを扱えるから僕の考える建築に近い」と大木は言います。その場所に住み、出会った人々と関係を深め、その関係がそのまま制作に繋がっていき、また、次々とヴァージョンが更新される原理上完成のない作品たち。それは言ってみれば人生そのものを表しているかのようです。そしてそこにこそ大木の考える「建築」が立ち上がり、今も改築されているのでしょう。

「LIFE IS FICTION」これは、大木が本展覧会に寄せたキーワードの一つですが、大木はどのようなメッセージとして「FICTION」を立ち上げ、また、どのような「FICTION」を暴こうと言うのでしょうか?そして大木裕之という存在、撮影という行為が介在し、掬いあげる「FICTION」とはいかなるものでしょうか?

イスラエル/パレスチナ/トルコ/香川/ネパール/チベットで撮影を続けている「ナ木(ム)」(2004年〜)、art-Link上野・谷中を中心に発表してきた「谷中の恋」(2000年〜)、この二つの映像作品を軸に、大木作品の特徴である、ワークインプログレス、アーティストインレジデンスの手法で、紐解かれます。

大木裕之の本格個展に是非御期待ください。


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